セルフ認知行動療法 | 株式会社CBTメンタルサポート

スタッフによる投稿です。

自分自身で認知行動療法の技法を用いたときの体験談を書きたいと思います。

それは私が大学生の時の話です。

ある日、バイトから帰宅しようとしていると、どこからとなく祭りばやしが聞こえてきました。どうやら近くで大きなお祭りをやっているようです。心の中では、「そのお祭りに行きたい!」とウキウキしてきました。一方で、「いや、やめておこう」という気持ちも同時にでてきていました。

ここで皆さんの中には、どうして「やめておこう」となるのかと疑問を持たれた方もいるかもしれません。いけばいいじゃんと!

当時の私はとても不安を強く感じるタイプでした。特に「人からどう見られるか?」「変な目で見られるのではないか?」という人からの評価に関する不安がありました。そのため、一人で祭りなんかに行ったら「悲しいやつ」と思われるのではないかと本気で思っていたのです。また、高校時代「ぼっち」「陰キャ」「非リア充」などの言葉がはやっており、一人で祭りに行くなんて周囲からそのように思われてしまうと本気で確信していたところがありました。そのため、お祭りに行きたいとの気持ちもありましたが、自分に言い訳をしてそのまま家に帰ろうとしました。毎回、このようなパターンを繰り返していました。

しかし、その時はどうしてもお祭りに行きたいとの気持ちが強かったため、すぐにはあきらめたくありませんでした。そんな時、最近読んだ認知行動療法の本の内容を思い出しました。それは『いやな気分よさようなら 自分で学ぶ「抑うつ」克服法』という本で、その中で紹介されていた行動実験という方法についてです。

行動実験とは、簡単に説明しますと自分の中に浮かんできた考えが本当に起きるのかを確かめてみる方法になります。当時の私の中の予想をまとめると以下の通りになります(図1)。

図1

状況予想
一人でお祭りに参加する周囲から「悲しいやつ」「ぼっち」と思われ、ジロジロ見られて笑われる(99.99…%)

この時私はこう思いました。「せっかく最近買って読んだ本に書いてあったことだし、実際に試してみよう!」と。そこで、いつもなら言い訳をして帰るところですが、自転車をお祭りの会場に向けて走らせることにしました。そのとき、自転車をこぎながら「やっぱり間違いだったかな…」と引き返したい気持ちもでてきましたが、引き返すことなく自転車をこぎ続けました。

だんだんとお祭りの会場に近づいていくにつれ、人がどんどん多くなってきていることに気づきました。このとき体は、心臓がドキドキしてきました。また、まだお祭り会場に入る前なのにどっと疲れた感覚もあります。

そして、いざお祭り会場の中に突入です。

きっと笑われる…

と思ったらすぐに意外なことに気づきました。それは、意外と一人で来ている人が多いのです!年配の人、中年の人、若い人、男性、女性に関わらず一人で来ている人が結構いたのです!ここで私の不安は少し下がりました。そして次にもっと衝撃的なことに気づきます。それは、お酒に酔った大学生らしき4人が歩行者天国の真ん中で騒いでいるのですが、なんと誰も彼らに注目していないのです!!ほかの人たちは、屋台、祭りのイベント、花火、一緒に来ている人との会話に夢中で、あまり周囲には関心がないようだとこの時気づきました。そして、なんだか反対に悲しくなってきました。「自分はここにいることに誰か気づいて!」といった気持ちです。このときの心の変化や学んだことは以下の通りです(図2)。

図2

状況予想現実の結果学んだこと
一人でお祭りに参加する周囲から「悲しいやつ」「ぼっち」と思われ、ジロジロ見られて笑われる(99.99…%)・誰からも見られることがなかった・一人で来ている人は多かった人は自分たちの世界を楽しんでおり、ほかの人を馬鹿にする余裕はないようだ

この経験以降、一人で何かするのがずっと楽になった気がします。

不安を感じる場面では、我々はついつい最悪の事態を想定してしまいがちなのだとこの経験を通じて学びました。

まだまだ不安を感じる場面は多々ありますが、この経験を思い出して、これからも不安な場面に挑戦し続けたいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。

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