2022年11月08日
- 認知行動療法
認知行動療法の問い17:ネガティブな予測とその対処法としての認知行動療法
質問
予期不安などネガティブな予測はなくした方が良いのでしょうか。またなくす方法があれば教えてください。
回答
予期不安とは、「〇〇な事態になってしまうかもしれない」といった未来についてのネガティブな予測のことですね。不安症などさまざまな困りごとには「ネガティブな予測」が影響しています。これまでの記事でも紹介してきましたように不安自体は、自分を危険から守ってくれるための大切な機能です。ですが、過剰に不安が生じると心身共に負担が生じるのも事実です。ある意味で人はたえず未来を予測しながら生活しています。その予測がネガティブなことだらけでは日々の生活は大変に苦しいものになります。かといって突然ポジティブシンキングが身につく訳ではありません。では認知行動療法では繰り返されるネガティブな予測に対して何ができるのでしょうか。
まずは現状把握です。日常生活においてどのような予測によって気持ちや行動に影響が起きているか検討していきます。次に、ネガティブな予測をどう評価しているか検討します。ネガティブな予測をネガティブに捉えるのかそれほど気にしていないのかといったところでしょうか。鵜呑みにするかそこまで信じていないかの違いもでるかもしれません。合わせて、ネガティブな予測への対処策についても振り返ります。頭の中でネガティブな予測を回避するための方法を検討する、ネガティブな予測が生じそうなことを回避するなどを明らかにしていきます。細かく現状把握をすることでネガティブな予測がもたらす影響をクリアにすることで対処を検討することができます。
対処法の一例
1.思考と距離をとる:ネガティブな予測(思考)を鵜呑みにし気分や行動に影響があることに気づく練習を行います。気づけるようになったら、無理にその思考をなくそうとするのではなく、そのままにしながらやるべきことに注意を切り替えるという方法です。とはいえネガティブな予測はけっこう手ごわいですけどね。
2.逆にやってみる:ネガティブな予測が生じ回避行動を繰り返している場合、おもいきって予測通りになるか試してみる方法です。予測と異なる結果が繰り返し出現することでネガティブな予測の影響は減っていくかもしれません。そもそもチャレンジするのが大変なんですけどね。
3.熱い言葉を唱える:ネガティブな予測を打ち消すような自分に熱い言葉を唱えます。「自分ならきっと乗り越えることができる」「何があっても未来はある」などがそれにあたります。個人的にはこの方法を用いて思考と距離をとって逆にチャレンジしてみるのがおススメです。
岡村から一言
ネガティブな予測が確実な未来でコントロール不能なものだと思うと、それはとても辛いものになります。ですが、「実際に起こるかどうか分からないし仮にそうなったとしてもきっと乗り越えることができる」と自分を信じることが大切だと私自身は考えています。どうせ事実が変わらないのであれば認識を変えてしんどいことがあっても前に進んでいきたいと思います。