認知行動療法の問い12:完璧主義への認知行動療法 | 株式会社CBTメンタルサポート

質問
完璧主義に対して認知行動療法は実施可能なのでしょうか。

回答
 完璧主義に相談者がお困りなのであれば認知行動療法を実施することは可能です。ただ、第三者の完璧主義を何とかしてほしいなどの相談の場合は難しくなってきます。今回は相談者自身が完璧主義に困っており認知行動療法を実施する際の方法について解説してみたいと思います。
 完璧主義の人でもありとあらゆることに対して完璧にやりたいという訳ではなく、日常生活のうちのいくらかのことについて「完璧でなければならない」との想いに振り回されることで生活に負担を感じます。まずは相談者の完璧主義がどのような場面で出現するかを認知行動療法の視点から分析していきます。その際大切なのは、背景にある「考え・マイルール」と「感情」を明確にすることにあります。「考え・マイルール」というのは「仕事をする際は完璧でなければならない」「暗記は完璧にしなければならない」といった「〇〇すべき」などの考えが該当します。そこまでの考えはないにしろ完璧でないことにモヤモヤしてしまうといったこともあるかもしれません。合わせて「感情」について整理します。完璧主義になってしまう際の感情は「怒り」「不安」「モヤモヤ」などどういった感情なのかを明確にしていきます。これらの情報をもとに、相談者にとっての完璧主義が何を表すのか理解していきます。
 多くの場合は「完璧でない」状態に対して強い感情が伴うことで「完璧な状態」を維持するための行動が生じます。短期的には「完璧である状態」であることで安心したりスッキリするのですが、長期的に見ると完璧であるために費やす労力に疲弊し生活に支障がでてきます。ではどうすれば良いのでしょうか。解決策はけっして一つではありませんが、「不完全な状態」をしっかりと味わうことが大切になってきます。それは容易なことではありません。おそらくさまざまな感情や考えが出現し、なんとか完璧な状態になるようあなたを指示してくるかもしれません。そうしないと大変なことが起きるかのような錯覚を引き起こすこともあります。そこまではいかなくても強烈なモヤモヤ感に苦しむかもしれません。お茶碗のお米をあえて残したままの時の違和感に近いかもしれません(人によりますが)。「不完全な状態」でいるためのチャレンジ内容を決めて繰り返すことで次第に違和感は変化していきます。この繰り返しにより完璧主義ではない状態で過ごせるようになることが大切になってきます。
 

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