認知行動療法の問い11:嘔吐恐怖への認知行動療法 | 株式会社CBTメンタルサポート

質問

嘔吐恐怖への認知行動療法について学びたいです。

回答

 嘔吐恐怖症は、自身もしくは他者が吐くことを目撃することを過剰に恐れるか、苦痛を耐え忍ぶ困りごとです。一言で嘔吐恐怖症といっても人によって恐れや苦痛を感じる場面はかなり異なってきます。認知行動療法ではまず、来談者にとっての嘔吐恐怖症が「いつどこでだれとなにをしている時にどのような考えやイメージが浮かびどのような気分になりどのような身体反応が生じどう行動するパターン」なのかを分析していきます。他者の嘔吐を見るのは平気だけど、自身の吐き気が過剰に怖いという方もいれば、どちらも怖い、自分の嘔吐は平気だが他者の嘔吐を見るのが怖いという方もいます。「嘔吐」という文字を見るだけでも恐怖を感じてしまう場合もあります。いずれにしろ日常生活を歩んでいく上で支障になり負担を感じる方が多いです。

 来談者が抱える嘔吐恐怖症のパターンを分析した後は心理教育を行います。嘔吐恐怖がどういった困りごとであり、どのように対処していけば良いか会話を通して理解いただきます。恐怖症全般に言えることではありますが、特定の対象に対して危険から身を守るための危険センサーが過剰に働いていると理解しています。なので危険センサーに本当は危険でないことを伝えていくことがある意味で認知行動療法による介入になります。例えば「嘔吐」という文字を見るだけでも危険センサーが働いてしまう人の場合、危険センサーが身体にさまざまな警報を鳴らしてきても「嘔吐」という文字を見続けることで危険がないことを伝えていきます。体験的に危険でないことが分かるとセンサーは次第に落ち着いていきます。このような流れで、危険センサーが過敏に反応してしまう場面をリストアップし、できる範囲からチャレンジしていくことで嘔吐への恐怖感に対処していきます。自身の嘔吐感が苦手な人の場合、食べ物を多めに食べてみる、その場で回転してみて嘔吐感を誘発するなどによりチャレンジすることが可能になります。一人でのチャレンジは難しい場合もありますので専門家に相談の上ご活用ください。

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