2022年10月14日
- 認知行動療法
認知行動療法の問い6:雷恐怖症への対処・克服法としてのカウンセリング
質問
雷恐怖症に認知行動療法を活用する方法がありましたら教えてください。
回答
恐怖症とは、通常であればそこまで恐怖を感じる必要がない対象や場面に対して必要以上に恐怖を感じ避けることで生活に支障をきたすこころの困りごとです。その対象は、虫恐怖、高所恐怖、暗所恐怖、動物恐怖、集合体恐怖、嘔吐恐怖、先端恐怖などさまざまです。これら恐怖症への対処・克服法としてのカウンセリングとして認知行動療法を用いる場合があります。今回はさまざまな恐怖症の一つでもある雷恐怖症への認知行動療法について解説していきたいと思います。
雷恐怖症は雷に対して強い恐怖心を感じて生活に支障をきたす困りごとです。ただ、同じ雷恐怖症でも「音」が苦手な人もいれば「雷が当たる想像」が苦手な人もいるなど個人差があります。なので、雷恐怖症にはこうすれば良い!といったシンプルな方法はありません。まずは自身の雷恐怖をしっかり分析することからはじめていきます。弊社ブログを定期的に見てくださっている方ならどのように分析するか想像がつくかもしれません。認知行動療法では困りごとの種類に関係なく共通の方法を用いて分析が可能です。雷恐怖の場合も同様です。自身にとって雷恐怖とは、どのような状況において、どう考え、どのような気分になり、どのような身体反応があり、どう行動するパターンなのかを明確にしていきます。例えば、雷がなってもおかしくない曇り空の際には、「きっと雷が鳴るに違いない。そうなると直撃してしまう。これだと外出できない」と考え、強い恐怖を感じます。心臓がドキドキするなどの身体反応が出現し、自宅の1階で雷に撃たれないよう過ごすといったような感じです。この分析を通して具体的に何に恐怖を感じているか明確にしていきます。
続いて雷恐怖を克服するためのアプローチですが、今回ご紹介するのは曝露法という方法になります。曝露法とは積極的に恐怖を感じる対象や状況に直面する方法です。なぜこの方法が効果的なのかの理由は所説ありますが、普段わたしがよく用いる方法で解説したいと思います。人が恐怖や不安を感じるのは危険を知らせてくれる脳の危険センサーのようなものです。この危険センサーが何らかの誤作動をおこし、通常は警報をならす必要がないことまで発動するようになります。この危険センサーを正常に戻すためには、実際には危険でないことをセンサー自体に理解してもらう必要があります。その方法として危険センサーがなっていたとしても対象を避けることなく直面し安全であることを理解してもらいます。仮にセンサーに変化がないままだとしても、センサーに振り回されず行動はできるようにはなりますので対応は可能になります。
上記説明のように自身にとっての危険センサーは何にあたるのかを明らかにした後、段階的にチャレンジしていきます。例えば、YOUTUBEで雷の動画を繰り返し見る、曇り空の中出かけてみるなど恐怖感を感じながらもできることを模索していきます。何が曝露にあたるかは人それぞれなのでカウンセリングではカウンセラーと一緒に検討していきます。曝露以外の方法としては、雷について詳しくなることで見通しをもつなどの方法もあります。いずれにしろ、カウンセリングや医療機関で専門家と一緒に対策について検討すると良いかもしれません。