認知行動療法の問い1:認知行動療法の得意不得意 | 株式会社CBTメンタルサポート

質問

 認知行動療法の得意分野と不得意分野があれば教えてください。こんな悩みや支援には大変向いて(こちらは改めてお聞きするまでではないかもしれませんが)、逆にこういう場合は別の方法を試したほうがよいなどがあれば、教えていただきたいです。

回答

 一言で認知行動療法といっても複数の理論を組み合わせたアプローチということもあり、幅広い困りごとに対応が可能になります。例えば児童思春期のお子さんに認知的アプローチは難しい場合もありますが行動的アプローチなどを用いることで対応可能になります。そういった中であえて得意不得意に分類するのであれば、すでに効果検証されている困りごとについての対応は得意といえるかもしれません。もちろん効果に個人差はありますが。逆に不得意な分野があるとすれば、「過去を振り返り自分を理解したい」などの自己探求的な相談でしょうか。認知行動療法は今現在の困りごとに注目するアプローチ(もちろん例外はある)なので、自己探求は向かないかもしれません。ちなみにトラウマは一見すると過去を扱っているように見えますが、過去が過去にならず現在に問題が出現していますので今現在を扱っているということになります。

 これからはあくまで私個人の意見になりますが、認知行動療法はホームワークの実施など比較的積極的な姿勢が大切になりますので、誰かに無理強いされて認知行動療法をやることになった場合、かえって辛さを感じてしまう可能性があります。その場合は、「ここはあなたにとっての困りごとを考える場所なので、利用するのは自分が本当に困ったことがある時でよいからね」とお伝えするようにしています。

 また、私が別の療法をお勧めする場合についてまとめて終わりたいと思います。一つは前述した「自己探求」としてのカウンセリングを希望されている場合です。認知行動療法でもセルフモニタリングは可能ですし、その旨をお伝えもしますがそういったものと異なる場合もありますので。あとは他の療法の方が効果が証明されている場合です。これもいきなり紹介するというよりはしっかりと事情をお伝えした上、一緒にどうすれば良いか検討します。最後に、セラピストが未修得もしくは不得意とする主訴の場合です。これも事情をお伝えしたうえ、相談者にとって最善の方法を検討します。

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