2022年10月01日
- 認知行動療法
社交不安症への認知行動療法
社交不安症は、人と関わる際に「変に思われたらどうしよう」などの考えを抱くことで不安感や恐怖感を持続的に感じ、そういった感情を抱く場面を回避するか耐え忍ぶことで対処するこころの困りごとになります。10代の頃から社交不安症を発症することでクラスに馴染めず学校に行きづらくなるなど社会生活に支障をきたします。大人になってからも、会議やスピーチ場面で過剰に不安感を感じる場合もあります。周りからはシャイや人見知りな性格と捉えられ、どうして良いか分からず一人で抱え込んでいる人もいるかもしれません。今回は社交不安症への認知行動療法の解説をできるだけ分かりやすくしていきたいと思います。
認知行動療法ではまず、社交不安症が日常生活に及ぼしている影響を確認していきます。不安を感じるのはどのような場面が多いのか、その際頭の中ではどのような考えが浮かびどのような気分になりどう対処するのか。身体には発汗や震えなどの変化があるかしっかりと整理していきます。
社交不安症症状と一言でいっても、実際の困り感は10人10色なのです。あらゆる人からの評価が気になる方もいれば、スピーチ場面に限定して気になる人もいます(厳密には社交不安というよりスピーチ恐怖かもしれませんが)。先輩が苦手な方もいれば後輩との関係が苦手な方もいます。さらに社交場面で浮かぶ考えも「怒られるかもしれない」と考え恐怖を感じる人もいれば「変に思われるかもしれない」と考え恐怖を感じる人もいます。対処行動も過剰に努力する人もいればその場を離れることで対処する人もいます。このように一人一人で様子はかなり異なりますのでしっかりとお話をお聞きし整理することが大切になります。
しっかりと社交不安症状について整理ができたら、自身が社交場面においてどのようなパターンを繰り返しているか複数場面を比較して整理していきます。認知行動療法ではデータを大切にしますが、複数場面において共通するパターンを主に扱っていきます。
不安というのはもともと自分を危険から守ってくれるためのセンサーとしての役割があります。ですがそのセンサーが本来危険でないことまで反応するようになるのです。社交不安症の場合、社交場面で不安センサーが発動してしまいます。これまでの段階で不安センサーがどのような状況において出現するか発見できたかと思いますので今度は対処法について検討していきます。
認知行動療法では認知(考え)もしくは行動の変えやすい方を変えていきます。今回は私がおすすめしている方法についてお伝えしたいと思います。社交場面において不安センサーはなり始めるのですが、無理に避けなくても止まってくれる方法があります。もしくは仮に不安センサーが鳴りやまなくても振り回されなくなることは可能です。どうすれば良いかというと、自ら不安に直面しセンサーがなっていてもそのまま過ごすことです。不安センサーは異常を感知しいつもより多く警報を鳴らすかもしれません。それでもそのまま過ごし何も危険なことがなければ次第に警報は落ち着いていきます。それを繰り返すことで不安センサーは落ち着いてくれるかもしれません。まずはプチ不安センサーが鳴ることからチャレンジしてみても良いかもしれません。一人での実施が難しい場合は支援者と一緒に挑戦することをお勧めします。
今回のお話が誰かのためになることを願っています。
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